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第2話 ブルースター Side心翔
「心翔くん、優月準備が出来たから上がって来てね。後この指輪は貸出ね。優月のは貴方が渡してくれるかしら?いつか本物は貴方から優月に贈ってあげて欲しいわ」
桃さんにそう言われて渡された指輪。
俺は自分の分を左指にハメながら2階へと向かった。
そして目に入ってきたのは恥ずかしそうに顔を赤くして女の子の姿になった優ちゃんがそこにいたのだ。
その姿に俺の心は優ちゃんに囚われてしまった。
優ちゃんはまだ自分の姿を見ていないらしくて俺が反応をあまりしないから不安になり泣きそうになっている。
マジで全てにおいて可愛すぎる優ちゃん。
俺・・・。
あまりにも可愛すぎるから緊張して上手く話せやしない。
『心翔くん。襲っちゃダメよ』
そう言って桃さんは鏡を取りにスタッフさんと下に降りて行った。
桃さんの忠告がなかったら襲っていたかもしれない。
優ちゃんが不安そうにしているからちゃんと俺から女の子に見えて可愛すぎる事を伝えないといけない。
後・・・。
桃さんから渡された指輪を優ちゃんに渡さないとダメだけど・・・。
よし、決めた。
指輪を渡すのではなく俺が優ちゃんに指輪を嵌める。
俺は優ちゃんを抱きしめて頭に口づけすると優ちゃんの前で膝ま付いて左手の指にゆっくりと指輪を滑らし嵌めた。
俺はその指輪に口付けをする。
これは俺なりの優ちゃんへの約束だ。
いつか必ず俺から優ちゃんに指輪を贈るから待っていて欲しい。
顔を赤くして俺を見つめる優ちゃん。
俺もこんな近くで見つめられたら恥ずかしいんだけど・・・。
指輪と優ちゃんにもう一度、俺なりの誓いのキスをする。
「好きだよ。優ちゃん」
俺の額と優ちゃんの額をつけたまま優ちゃんは笑顔を見せてくれた。
優ちゃんが顔を赤くしながら笑う仕草は可愛い。
俺も自然と笑顔になる。
その姿を最初っから写真撮影されていたなんて気づきもしなかった。
いくらデザイナーさんが見たいと言ったからって普通に写真撮影して欲しいと内心思ってしまった。
本当に誰にも可愛い優ちゃんを見せたくないんだ。
俺だけを見て俺だけに見せる笑顔。
優ちゃん。
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