340 / 903
第3話 文化祭 Side直
久遠君とチラシを配って歩いているけどやっぱり優月君の事が気になり上手く笑えない。
「竹田、気にする事無いからな優ちゃんとは後で回るから今はクラスの宣伝に集中しよう」
久遠君は僕の肩をポンッと軽く叩いて励ましてくれた。
同時に周りの女子からの刺すような冷たい視線を全身に浴びている。
僕は男なのに・・・。
あの女何?
みたいなヒソヒソと話す声が聞こえてくる。
「気にするなよ」
「うん。ありがとう久遠君」
優月君もこう言う優しい所が好きなのかな?
久遠君の方を見ていると視線の先に西山先輩の姿が見えた。
女子生徒に囲まれて何か話しているように見えたが直ぐに何処かへ行ってしまった。
凄く怖い顔していた気がする。
僕は久遠君から離れると西山先輩が向かった方にフラフラと歩いて行った。
まだ西山先輩の後ろ姿が見えるから・・・・・・。
どうしてこんなに胸騒ぎがするんだろう?
僕の頭の中で誰かに行ってはいけないと言われているようだった。
あれ?
旧校舎に入って行くの?
何だろう?
さっきから誰かを探しながら歩いていたような気がする。
真っ直ぐここに向かって来たのではなくて色んな教室を覗きながらと言うか空いてる部屋を手当たり次第開けるような?
鍵の掛かった部屋なんて鍵を開けてたもんね。
誰を探してるんだろ?
胸がチクチクと痛い。
ともだちにシェアしよう!