437 / 903
第2話 早めのクリスマス Side心翔
車の後部座席に座って優ちゃんの手をずっと握っていた。
こうでもしてないと本当に咲夜を殴るかもしれないからだ。
優ちゃんが俺を見つめてギュッと手を握りしめた。
「咲夜さん。どうして媚薬なんて使ったんですか?」
「優ちゃん。その話は後で俺がする」
「心翔は黙ってて、僕が聞きたいんだ」
優ちゃんの目が一瞬ギラッとした。
この目は俺の話は一切聞き入れないと言う目だ。
俺は大人しく優ちゃんと咲夜の会話を聞いている事にした。
「本当にすまない」
「謝るのはもう良いですから僕の質問に答えて下さい」
冷たく言い放つ優ちゃんに車内の空気が張り詰めた。
そうだこの人達は優ちゃんの事を何も知らないんだ。
今日会ったばかりの人達は、ふんわりと笑っている気弱な優ちゃんしか見ていない。
「心翔君をその気にさせるには優月君から誘ってもらうのが1番だと考えたけど優月君はそういうの出来なさそうに見えたから媚薬を使ったんだ」
見た目で判断したみたいだけどちゃんと説明するべきじゃないのかよ。
媚薬なんて使わなくても俺達はちゃんと出来るんだよ。
俺は思わず車の窓を殴っていた。
「心翔君。すまなかった」
「はぁっ?許せるわけないだろ」
「心翔、落ち着いてよ」
優ちゃんが居るから我慢できてんだ。
居なかったらカメラ壊して暴れてるよ。
「あの媚薬は僕にはあまり効果は無いですよ。身体が熱くなりましたがそれは心翔が相手だったからです。僕は媚薬無しでも相手が心翔なら感じますよ。媚薬以上にね」
優ちゃんもかなり怒ってるのが分かる。
「効かない?」
「咲夜さん媚薬は錠剤ですか?」
「錠剤で即効性があるって言われた。ジュースに溶かして優月君が飲んだけど平然としていたから演技かと思ったけど普通にしていたのは演技じゃ無いの?」
「はい。錠剤・・・・・僕には軽かったです」
この冷たい感じはあの時を思い出させる。
西山冬樹に拉致られていた時の優ちゃん。
「媚薬の話はもう終わりにしよう・・・優ちゃん?」
優ちゃんの手が冷たくなりガタガタと身体が震えている。
「ま・・・まな・・・・僕・・・・・・」
「クソッ!優ちゃん大丈夫だからな」
「う・・・うん」
アダルトとかの撮影なら分かるが普通に写真撮影で媚薬なんか使うかよ。
あの時にするって言ったから・・・・・優ちゃんごめん。
断ればよかったよな・・・・・・。
ともだちにシェアしよう!