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第3話 早めのクリスマス Side心翔
「ゆっくりと息吸って優ちゃん」
返事も出来ないくらいに苦しそうにしている優ちゃんの肩を強く抱きしめる事しかできなかった。
「K病院まで連れてってください」
「分かった」
運転していた徹さんが返事をした。
咲夜と片岡さんは優ちゃんの様子を心配そうに見ているだけだった。
俺は携帯で遥兄さんに連絡をした。
今日は夜勤で病院に居るから早く連れときなさいと言われた。
今いる場所からだと30分は掛かると告げる。
「分かった。待ってる」
遥兄さんの声がいつもより張り詰めていたのが気になったがでも優ちゃんの顔色がドンドン白くなっていってるのが心配だった。
「優ちゃん・・・ゴメン」
「ま・・なと・・・悪く・・・ないでしょ・・・・」
苦しそうなのにそれでも心配させない様に笑う優ちゃん。
病院の裏口通路でストレッチャーを用意して遥兄さんと聖輝兄さんが待っていてくれた。
今日撮影だと遥兄さんは知っていたから優ちゃんの姿を考えて裏口通路に居ると言ったんだと思う。
診察室に入り暫くすると桃さんと一緒に心輝と直が来てくれた。
「何があったの?遥さんから連絡を貰ってきたんだけど心翔君」
「すみません俺が付いてながら詳しくはそこの咲夜にでも聞いてください」
俺が説明するより咲夜が桃さんに説明して謝るのが良いと思ったからそう言った。
「咲夜君が何知ってるの?」
「何かってそれをした本人ですから説明聞いてくださいよ」
俺の苛立ちが伝わったのか桃さんが咲夜に視線を向ける。
優ちゃん。
苦しそうにしていた。
媚薬の副作用?
もしかしてまた記憶を失くすとか無いよな優ちゃん。
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