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第30話 初詣
段々とハッキリ声が聞こえてきてゆっくりと視界も明るくなってきている。
この声・・・・・・。
「心翔?」
「優ちゃん!」
視界が明るくなり僕の顔を覗き込んで心配する心翔の姿がそこにあった。
「良かった。凄くうなされてたんだ」
「うなされて・・・・・」
僕は宮崎に心臓を刺されたけど痛みがない。
辺りをよく見ると心翔の部屋でさっきのは夢だと分かって安心した。
「大丈夫か?」
「うん。平気だよ。ちょっと怖い夢を見たいんだ」
「すごい汗だ。拭くものと何か飲み物持ってくるよ」
ベッドから出ようとする心翔を僕は後ろから抱きついて止めた。
今はそばにいて欲しい。
「優ちゃん?」
「少しだけこのままでいて欲しい」
「分かった」
心翔は前で組まれた僕の手をそっと握り締めてくれた。
いつも僕を優しく包み込む心翔の温もりが欲しくてただすがるように心翔に抱きついていた。
宮崎の夢は途中までは以前にされた事だ。
胸を刺すとかは無かったが無数に切り傷をつけられた事もあるし首を絞められて気を失った事もある。
他にもあるけれど今は思い出したくない。
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