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第5話 お屋敷

宮崎は偽名。 それは僕と直にも分かる話だ。 お屋敷に夕方近くに着いた時、応接室にお客様が来ていると執事の人が伯父さんに話をしていてそのまま心翔と心輝は一緒に連れて行かれて僕と直は部屋に通された。 「藤咲正臣が来ていた」 藤咲正臣? 同姓同名と一瞬思ったけれど心翔の表情からして僕の知っている藤咲正臣だと分かった。 「藤咲正臣って、正臣の事?」 「ああ、そうだ」 短い返事だけすると少し黙り込んでしまった。 心輝が気を使い心翔の代わりに話をしてくれている。 正臣は色々と短時間で調べて僕達が心翔のお屋敷に行く事を知り直接会って話したいとお屋敷へ出向いて来た。 初詣での日、僕達と別れてからある男性に話しかけられたと言う。 その男性は宮崎と名乗り僕や心輝と知り合いだと話して来て色々と聞いてきたらしく知り合いなのにと思う質問をされ怪しく思い適当に誤魔化してその場を去ろうとした。 いきなり正臣の横に居た鈴木君の腕を掴み宮崎は自分の方へ引き寄せるとナイフを突き付け僕と心輝を連れて来ないと鈴木君がどうなるか分からないと言いその場を去った。 その後、僕達が絡んでいるからなるべく正臣だけで対応しようとしけれど情報が殆ど無くて連れて来いと言ったけど連れて行く場所も言わずに鈴木君は連れて行かれた。 情報が欲しくて心翔のお祖父さんや伯父さんが宮崎の事を調べている事を知りお屋敷へ出向いて来た。 途中伯父さんに連絡があったのはもしかしたら正臣の事だったかもしれない。 「僕・・・と話してたから?あの日、正臣と話してたからなの?」 「ゆづ君、落ち着けよ」 「だって、そうでしょ?僕が正臣達と話をしなかったら・・・鈴木君は連れて行かれなかった。違うの?」 宮崎に何をされているか分からない。 早く鈴木君を助けないとダメだと思うのに宮崎にされた事を思い出して身体が強張る。 あれを鈴木君にしていたら・・・・・。

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