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第2話 バレンタイン Side直

11時を過ぎても心輝は来なくて携帯に連絡をしても繋がらない。 どうしちゃったんだろ? まだ11時だから・・・・・・・。 不安が僕の体中に行き渡り泣きそうになってくる。 また危ない目に遭っているんじゃないかとか事故に遭ってはいないかと色んな事を想像して不安だけが大きくなって行った。 1分に1回と気付いたら電話をしている。 10回目をかけても電源が切れていて留守電のアナウンスが流れてくる。 「ねぇ、泣きそうな顔してどうした?彼女と待ち合わせか?」 スーツを着た20代後半くらいの優しそうな男性が笑いかけて僕に話しかけてくれた。 「あ・・・彼女じゃ・・・無いです。待ち合わせをしていて・・・すみません」 「別に謝る必要無いよ。まだ来ないんだお友達」 「えっと・・・・・はい」 お友達。 その言葉に胸がチクチクと痛んだ。 心輝はお友達じゃ無い。 僕の大切な人で恋人なのに、周りには知られないようにしないとダメだから嫌でもお友達と言う言葉に返事をしなくてはいけない。 「ごめんね。なんかマズい事を聞いたかな?喧嘩したの?」 「してないです。いつもは待ち合わせ場所には時間に遅れない人なんで少しだけ心配なんです」 「待ち合わせは何時?」 「11時に・・・・・・」 「30分も過ぎてるね。何回も電話してたよね」 「はい」 心輝・・・。 大丈夫だよね。 少しだけ寝坊してるだけでもうすぐしたら電話をして来て寝坊したからごめんとか言ってくれるでしょう?

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