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第14話 もう少しで

物置部屋から下足場に来ると前から昼間にあった天使さんが歩いてきた。 夕陽に照らされた髪がキラキラと光って眩しすぎる。 髪色が薄いから陽に照らされるとキラキラとして見えるのかな? 呼びたかったけど僕名前聞いてないからどうしよう。 「天月さん」 心翔が天使さんを天月さんと呼んだ。 天使さんは少しだけ顔を赤くして微笑み手を振っている。 天使さんは可愛いけど・・・・・。 僕は凄く胸がモヤモヤして黒い物が吐き出されそうな感じがするんだ。 「えっと・・・八坂君。お昼間はありがとう」 「はい。僕名前聞くの忘れちゃって、心翔が知っていたみたいだから呼び止めてもらえてよかったです」 そう言うとパァ〜と花が咲いたように笑って僕の両手を握って上目遣いで見てくる。 これは・・・・・破壊力半端ない。 「僕の名前は天月使颯(あまつきつかさ)だよ」 「天月さん」 「使颯でいいよ。優月君」 これは計算してやっているんだろうと分かった。 天月さんは僕と心翔が付き合ってるとかは知らないだろうから僕と仲良くなれば心翔に近づけるとか思ってるのかな? 可愛さと天然を装っているように感じるのは直と比べていたからだった。 直には誰も可愛さも天然も勝てないよ。 心翔は見抜いてたのかな?

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