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第1話

「はーい、カズです!今回も楽しやってくよ!」 カーテンを閉め切った薄暗い部屋。 唯一の光源はゲーム画面を映したモニター。 俺は入念にチェックを済ませたマイクに向かって話しかける。 「今日は、今流行りのホラーゲームを実況するよー。チョー怖いらしいから覚悟して見てね!」 カチャカチャと安っぽい音を出すボタンと、一人呟く俺の声のみ部屋に響く。画面に映る不気味なゾンビと裏腹に、俺の舌は周る。 ─今日は調子が良い。こりゃランキング1位も夢じゃないな。 俺は動画に書かれるコメントを想像し、口元が緩んだ。 ───────────────────── ゾンビゲームに区切りをつけ、編集作業をしていると突然部屋が明るくなった。 暗さに慣れた目が眩む。 瞼を擦りながら振り向くと、ハジメが腕を組んで立っていた。 「カズ、また部屋の電気付け忘れたのか?目を悪くするからやめた方が良い」 ハジメは俺のパソコンを覗き込むと、ゲッと顔歪めた。 「またそんなゲームを選んだのか。確かに受けは良さそうだけど、僕には無理だな」 そう言いながらキッチンに向かう。俺はパソコンから離れ、ハジメに近づいた。 ハジメがトマトを洗っていたので、俺はそれを切る。 「お前、ホントにホラー苦手だよな。でも最近始めたシリーズはFPSゲームじゃん。戦争するやつ。あれは平気なの?」 「あのゲームは人間しか出てこないから平気。怖いのは化け物だ。お前の好きなゲームはゾンビとか幽霊モノばかりだから一緒に遊べないんだよ」 ─へえ。俺と一緒に遊びたいんだ。 普段のハジメはこういう事を言わない。コイツは自分の感情を滅多に表に出さないのだ。 やっぱり今日は調子が良い。 俺は鼻歌を歌いながら残りの野菜を切り刻んだ。

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