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第4話 ドナドナ

「……さかえさーん、栄さん」 ……知らない真っ白な天井だ。 ここは雲の上だろうか? 「栄 三成さんですね」 「……はい」 まさかの死神が俺の名前を確認するとは、一応は『神』なんだから知っていてくれ。 「意識も脈も正常です」 「警察の方をどうぞ」 へー、あの世でも警察なんているんだ……。 「えっ?!警察っっ?!?!」 「栄さん、よそ見運転かな。アルコールは検出されてないけど」 それは当たり前このとだった、あの世の警察官に説明しようと、俺は勢いよく身体を起こした。 「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!!何……この、痛みっ?」 俺の身体をよく見ると、首胸、そして左腕にギブスで処置してあった。 すると警察の人をよく見ると……本当の生身の警察官だった。 「この程度の怪我で済んで良かったね。ダンプカーと衝突してたらキミは即死だったよ」 「即死の方を俺は望んでたんだよ!!」 まさか……俺はこれから絶望を背負って生きていくんだ。 希恋(Fカップ)にもフラれて、生きる希望なんて。 童貞は希恋(Fカップ)のために捨てるつもりだった。 大学に通い、医者になり……良い思いして人生を謳歌する予定でいたのに。 「……俺には、なにも……生きる希望もないんだから」 「やっぱり君は自殺未遂か。……今も死んでしまいたいかな?」 「はい」 こんな中途半端な怪我で死に損なった俺はみっともないし、両親にも会いたくもない。 後呂側にいた医者は、ポンと手を打つと、こう言った。 「じゃあ、病院を変更しなきゃ行けないな」 俺は痛みと戦いながら歩いて病院の車に乗せられ、長い道程を搬送された。

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