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第5話 四五人の看護師さん(体格の良い初老の女性)

車が止まった先は……薄気味悪い大きな建物だった。 看板には◯◯◯精神科病院と書かれてあった。 「……え?……えっ?!……えぇっ?!」 俺はまさか、ひょっとしてまさか精神病患者っ?! 「たんまたんまたんま、俺にこんな病院必要あるわけない!!」 「ああ、でも栄くんに必要あるか無いかはここの主治医の先生が決めることだから」 ちょっと冗談でも笑えないよね、これは!! すると中から四五人の看護師さん(体格の良い初老の女性)が出て来て、俺を取り囲んだ。 え?! 何この看護師さん、女性なのに力が半端ないっっ。 「ちょっと……なにすんだよっいてて。怪我人なんだ、労ってって!!」 俺は身体に力を入れると鎖骨が痛くて叫んだら、 「何が怪我人だ。自殺をはかった罰当たりにはこのくらい痛い目をみないと繰り返すんだ」 「これからあんたの診察視てくれる先生のところまで大人しく来るんなら、捕まえないからキビキビ歩いて」 「ホラホラホラホラ、歩く」 今まで見たことがないような対応の初老の看護師さんに俺は囲まれて、緊急出入口から入って行った。 それを見送っていた前の病院の看護師さんは苦笑いで俺に手を降って、 「頑張ってきてね」 それはまるで何が病院じゃなくて、収容所みたいなノリだった。

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