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第37話 卑怯な作戦
「三成くん、遊びに誘いに来たよ」
幹さんの声に俺は布団を頭から被った。
「……ごめんなさーい、俺今眠いんで」
ゆりちゃんと折角話していたのに、まさか妨害されるるとは。
「えー、みっちゃん……寝ちゃうの?」
俺はゆりちゃんにしか見えない横から人差し指を立てて、『シー』(内緒にして)とやった。
するとゆりちゃんは俺の真似をして人差し指を立てて、『シー』。
あああああああ、ゆりちゃんがやらないでっ!!
「ゆりちゃんでもいいか。ホールで絵本読んであげる」
「みっちゃんに読んでもらうから、幹さんはいい」
ゆりちゃんはそう幹さんの誘いを断った。
ありがとう……ゆりちゃん、絵本全部俺喜んで音読するからね。
「ひどいなぁ、若者同士仲良くしてさ」
ようやく幹さんは諦めてホールの方向へ車椅子の音が消えていった。
それを一部始終見ていた永田さんは笑いをこらえていたけど、少しだけ漏らした。
「良かったね、諦めてくれて」
「全くですよ……」
永田さんは他人事だからそう笑ってられるんだ……。
俺は布団から起き上がってまたゆりちゃんと会話を再開したら、幹さんが戻って来た。
「三成くーん」
俺はまた布団を被ったけど、今度は通用しなかった。
「この部屋ね、ホールから丸見えなんだよ。ゆりちゃんとは大人の会話が出来なくてつまらないよね?オジサンと話そう」
言い逃れ出来ないか……。
俺はしぶしぶベッドから起き上がろうとしたら、ゆりちゃんがなんと俺のベッドに入ってきた?!
「みっちゃんとゆりは今から一緒に昼寝するから、幹さんは違う人と遊んでっ」
えええええええええええ嬉しすぎて……あぁ、昼寝からペニスが勃起ちそう。
「それ卑怯だね……。まぁいいさ、今はゆりちゃんに免じて諦めてくれてあげよう」
ゆりちゃんはご満悦で笑った。
「やったぁ!!ゆり、初めて幹さんに勝った」
「……ありがとう、ゆりちゃん」
「なんで?ゆり、みっちゃんとられるの嫌だもん」
その『とられる』は『取られる』、それとも『盗られる』んだろう?
でも今の俺はどっちでもいいくらい嬉しかった。
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