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第39話 幹さんが怖い!!
俺は何故か幹さんの個室に遊びに来ている。
というか正確には『遊びに来させられた』だ。
……断る理由が見付からなかったし、これは俺に言い寄ってきても脈はないと理解してもらえるチャンスだとも思った。
「ごめんね、三成くん。こんな手を使っちゃって、僕も卑怯かな」
「そう思うなら、ゆりちゃんを巻き込まないでください」
「巻き込むつもりなんて無いよ、邪魔さえしなきゃね」
『邪魔なのは幹さんだ』と突っ込みたくなったけど、次の瞬間に俺は突っ込まなくて良かったと思うことになった。
「三成くんはゆりちゃんが好きなんだね」
……急に当てられて何も俺は言えなかった。
『気付かれた』という気恥ずかしさと『男同士』という背徳感でいっぱいになった。
「何も言えないなんて、可愛いね」
幹さんは俺を見てニヤニヤ笑った。
「……俺は、そんなに『分かりやすい』……ですか?」
「僕も三成くんが好きだから気付いたんだ」
幹さんは皆の前ではヘラヘラしてるのに、今俺の前にいる幹さんはカッコ良かった。
「三成くん、君はゲイなの?……もしそうなら僕にしておいたほうが良いと思うけどな?」
「俺は違いますよ。ゆりちゃんだから好きなんです」
「同じだよ。一度アナルにペニスをブチ込まれて、イイことろにヒットすれば『身体は直ぐに落ちる』」
ひえええええええ、冗談じゃない!!
俺が受け身なんてっっ。
「君が僕の上で悦がって踊ってる様を見てみたいなぁ」
「真顔で冗談はやめてくださいよっ」
「冗談じゃないよ。……僕に右足が残ってたら自分自身で滅茶苦茶に愛してあげたかったけど」
幹さんはそう言って右足を擦った。
「え……」
「僕はね『飛び降り自殺未遂者』なんだ」
膝掛けを取って、義足をみせた。
「愛する人を病気で亡くして絶望にくれてついね。それでここで優しく声を掛けてくれたゆりちゃんに甘えてたんだけど……君の横顔の凛々しさが死んだ彼に似てるからね」
……ひえええええええ、この人カッコイイけど、物凄く怖い!!
俺はこれ以上聞く勇気がなくて、
「おおっ俺は凛々しくないですからっ!!」
情けなくも逃げ出した。
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