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(19) もう一度、昨日の夜を今日の朝で
俺は、盛大な勘違いをしていた。
時政様が側室をお迎えするものだと、思い込んでいた。
否。
時政様が側室をお迎えするのは、事実である。
要は、それが誰か?……という事★
「お前以外に誰を娶るというのだ?」
「だって!俺、時政様にプロポーズされてない!」
側室って、お妾 ではあるけれど。
時政様と結婚するって事だよっ。
(プロポーズなしで、一足跳びに側室だなんて!)
おかしい。
変だ。
俺の意志を尊重しろ。
「……嫌か?」
切なげに……
揺れた黒曜石の目の中に、俺が映っている。
端の掠れた声音で問いかけられたら、俺……
(嫌じゃない)
嫌なのは、時政の隣に俺以外の恋人がいる事だから……
首を横に振った。
(嫌じゃないから……)
この感情は、嬉しいって事なんだ……
時政様が、俺を選んでくれたのだから。
「では、私は喜んでいいのだな?」
指が、俺の髪を梳 いた。
「後で『やっぱり……』というのはなしだぞ」
一房の髪をすくって、唇を落とす。
「時政様も、嬉しいんだな」
「当然だろう。満たされている」
ふわり、と体が浮いた。
お姫様抱っこで軽々俺を持ち上げる。
「あっ、足が汚れる」
「構わん」
足袋 のまま、外に出たのは……
「昨夜は一緒に見られなかったからな」
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