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第1話
-ポートマフィア-
其れは、ヨコハマの夜の世界を牛耳るマフィア。
現在、其の首領(ボス)の座に就いているのが森鴎外。異能力-イタ·セクスアリス-
彼のよく云う"合理的最適解"で圧倒的強さを見せ付け、今では裏社会で知らぬ人はいない。
其れでも敵対する輩がいる。
でも、そんな馬鹿が辿る結末は一つ。....死だ。ポートマフィアは容赦しない。徹底的に潰して、殺す。
残忍で冷徹な彼だが......変わった一面もある。
.....幼女趣味。俗に云う、ロリータコンプレックス。 略して、ロリコン。
一人の金髪の幼女を愛してやまない一人の中年。
こんな彼の姿を見たって誰もポートマフィアの首領(ボス)だとは思わないだろう。
....否、一つ訂正しよう。
森鴎外は、金髪の幼女"エリス"を愛してやまないが、性的な感情ではなく只の愛でる対象である。
では、性的な目で見てしまう.......言い方を変えよう。
熱の籠った目で見てしまう....所謂"想い人"がいないか、と云われたら答えはNOである。
いるのだ。ショタでもなく、ロリでもない、成人している人物に恋心を抱いているのだ。
彼と親しい人物なら皆、口を揃えてそんなわけがない、と云うかもしれないが此れが事実だ。
歪めることも、捨てることも出来ない、真実なのだ。
で、だ。其の想い人は誰かと云うと、そう。
五大幹部の一人、重力使いの中原中也。
綺麗な夕焼けを連想させる髪、南の島の海のように澄んだ青い瞳。
口調は荒いが、言葉の裏にはちゃんと優しさがある-男-
そう、女ではなく、男なのだ。異性ではなく、同性に恋心を抱いて仕舞ったのだ。
でも、仕方無いと思う。
男としては低すぎる身長、中性的な顔立ち、まるで異国の人形の様に、美しい。
其の見た目は女性には勿論、男性も虜になってしまう程に、美しすぎるのだ。
だが、其の見た目に反して性格は男前で、其のギャップに惚れてしまう人もいる。
その中原中也だが、最近ある男と"恋仲"ではないかと噂されている。
その"ある男"とは、悲しいことに森鴎外の養い子、太宰治なのだ。
唯一、森の意思を継ぎ合理主義者だ。まあ、当然のように頭が良く、容姿端麗、そして、中原中也と同い年なのだ。
だけど、太宰と中原は双黒(あいぼう)を組んでいるけど仲は物凄く悪いのでは、よ思う人もいるかもしれない。
.....まあ、喧嘩する程仲が良いとか、嫌よ嫌よも好きのうち、みたいなものだ。
二人の間で、小中学生がよく読みそうな少女漫画的な展開があったんだろう。
だが、想い人に恋人が居ても想っている事は事実だ。
今宵、ヨコハマの綺麗な夜景が一望出来るポートマフィアの首領室で森鴎外は決心した。
-もう、いっそのこと此の想いを全て伝えて仕舞おうじゃないか!
極めて困難な戦局だが、やるからには徹底的に、尚且つ格好良く伝えて見せよう!-
と、一人で悶々と考えているうちに夜は明けて仕舞った。
後に、首領室を警備する黒服がこう語った。
「何か、首領室で首領しかいないはずなのにブツブツ声が聞こえて怖かった」
....都市伝説みたいになっていた。
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