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第3話
あのさ、僕、不思議なことがあるんだ。
どうしてあなたは、自分のものでもないのに、平気な顔をして僕を抱きしめるんだろうって。
今でもそれは分からないけど、分かったこともあるんだ。
彼にとって、僕は都合のいい存在。
それは、いくらでも変わりが利く存在ってことでしょ。
なんでこんな簡単なことに今まで気づかなかったんだろう。
馬鹿みたいだ。
僕の望んだ、幸せや愛なんて何もなかった。
たぶん、彼はとても優しい人。
僕みたいなやつの気持ちだって拒めないくらいだから。
でも、それが駄目だったんだ。
別れようって言われたのは彼からだった。
でも、そうさせたのは僕。
最後くらいはもっと男らしくすればって思ったけど、
その残酷なまでの優しさが彼らしいとも思うからこれでいい。
僕はあなたと別れて別の道に進むけど、
あなたはまた都合のいい僕みたいな相手を―次の僕を探すんだろうね。
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