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第12話 淋しい者同盟

なんとか退屈極まりない数学を終える。 いや、今日は退屈どころか別の意味で疲れたのが本音だ。 神とまさかの視線が合っちゃったり、先生に二度も小突かれるし。 溜め息をついて机に突っ伏したままでいると、目の前の席を立ったクラスメイトと入れ替わりに勢いよく座ってきたヤツがいる。 俺の親友、伊藤健太だ。 健太とは高校に入学してクラスが一緒になってから仲良くなった。 オリエンテーションで校内を巡っている時に、なんとなく隣になって、なんとなく喋ったら話しやすくて。 俺も健太も学校自体に中学時代の友人が居なかったから、直ぐにお互い『淋しい者同盟』を組んだんだ。 俺と違ってイケメン…なハズもなく同じ平凡仲間として理解が深まり、親友という間柄だ。 平凡のクセに俺と違って髪の毛をちゃっかり茶色く染めてたりするし、ちょっとだけオシャレに気を使っている。 ここだけの話、高校デビューに失敗したみたい。 なんでかって? そりゃぁ、まぁ、平凡なだけに勢いが足りず、皆の中に埋もれたという…髪の毛を染めた人間なんてゴマンといるからな。 とにかく、そんな健太だけど俺には気の合う親友なんだ。

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