21 / 53
第21話 潰れたカエルじゃない
ううっ、痛い…グスンッ。
俺は地面と「こんにちは」をしながら、痛みに耐えた。
そして、思う。
きっと今、俺は潰れたカエルの格好でいる。と…。
いつまでもこの恥ずかしい格好で居るわけにいかず、プルプルしながら起きた。
立ち上がると体についた砂をはたき落とす。
怪我は…オッケー大丈夫そうだ。痛いけど。
「とにかくハッピーを探さなきゃ」
ハッピーは何故か知らないが、散歩でプリッと出してスッキリし暫くすると、急に走りたくなる衝動に駆られるらしい。
でも、いつもは俺が踏ん張って耐えると諦めてくれるんだけど、今日は諦めず二度も強く引かれた。
全く予想していなかったから、ハッピーのリードから手が離れてしまったという失態。
ハッピーは中型から大型の間位のサイズで、ちょっと大きめだけど、愛嬌の塊な誰にでも尻尾を振る犬だから噛んだりしないし、吠えかからない。
その点は大丈夫なんだけど。
それでも、知らない人からすれば怖いかもしれない。
「ハッピー!!ハッピー!?」
俺はハッピーが走っていった方へと、急いで探しに向かった。
ともだちにシェアしよう!