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第20話 まさかまさかの
くあぁっ…眠い。
欠伸を噛み殺しつつ、ハッピーに引っ張られて歩く。
お~いいぞハッピー。
そのまま俺を連れていってくれぇ…。
俺はいつもローテーションで散歩コースを変えている。
ほんの少し遠いが、この市内でも大きい通称『みんなの公園』は広くて色んな犬の散歩もしているから、挨拶するのが楽しくて最低週に3日は来ている。
森の様に大きな木がたくさん植えてあって、芝生も綺麗で、季節の花も咲いている。
中央には池があって、そこを泳ぐ鯉や鴨を眺めるのも好きなんだ。
あと土とはいえちゃんと舗装された道があって、散歩やジョギングにはピッタリだ。
「今日も天気いいなぁ…」
空を見上げて呟いた。
それから、視線を前に向けてぼちぼち歩く。
日曜の朝だからか、いつもより人が多い気がする。
いつもは見ないおじさんも日曜の朝だけは、ウォーキングしてるみたいだ。
でも、週一とか意味ないし。
あのベンチに座ってるおばさんは、ランニングして疲れたら休憩するのがお決まり。
そしてジュース飲んでドーナツ食べて…休憩はいいけど、大量に飲み食いしたらダイエットの意味がないの教えてあげたい。
あと、定期的に会うのがトイ・プードルのリリーちゃん。と、飼い主のお姉さん。
擦れ違う度に、リリーちゃんはメチャクチャ吠えまくるし、お姉さんは眉毛犬ハッピーに対して小バカにした笑いを向けてくる。
くそうっ!
言っときますけど、お宅のリリーちゃん。貴女に似て嫌味な顔してますよ!!
と、まぁこんな感じで。
これが、なかなか楽しいんだよな。
(リリーちゃんと、意地悪そうな飼い主除く。)
顔見知りの愛犬家の人も結構出来たし!
ただ、ひとつ問題が…。
「うわぁっ?!ハッピー!!!!!」
グイッと強烈な力で引かれて、俺は転びそうになるのをなんとか耐えた。
ハッピーの突然起こす、この引っ張り癖だ。
「って、わあっ!?」
いつも耐えてるが、今日は何故かまさかの第2弾の引きが…しかも完璧に予想外で。
ビタンッ!!
そして、俺は無様にもその場に倒れてしまったのだった。
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