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第26話 正体は

そうだった。 人に迷惑かけてた。 しかも肉球スタンプで服も汚してるし。 どうしよう、ヤバイ。 俺、お金とか持ってない。 しかもこの人声、怖い。 さっき見た感じ背も高いし、歳上かも…。 親とか呼ばれたり、訴えられたりしたらどうしよう。 最近のニュースで、放し飼いの犬が人を噛んだとかで裁判沙汰とかなってたし。 そんなことになったら~マジでどうしよう!? せめて、ハッピーの保健所行きだけは阻止しなきゃ!! なんて悶々と悩んで地面とにらめっこしてたら、再び呼ばれた。 「おい、コラ。七瀬 もえ」 突然目の前の男から名前を呼ばれた。 「!!?」 俺は今度こそ驚きに、顔を上げた。 そして、そこに仁王立ちしている男の顔を見て驚愕する。 キャップを被っていたし、普段見慣れてる制服姿と違ってたから気がつかなかったが、この男…! 「か、神…!!?」 そう。 そこには、王子様が降臨していたのだった。

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