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第27話 二度目のツッコミ

なんでこんなところに、神がいるんだよ?! 俺はすっかり落ち着きを取り戻したハッピーとは逆に、頭の中をパニクらせていた。 先日の視線絡みの案件から一週間ほど経つが、全く話すどころか、視線が合うことすらなかったのだ。 だから、もうすっかり頭から神の事についての意識は無くなっていた。 同じクラスの特別な男。 俺には関係ない王子様。 前までと同じ考えのそれ位の存在だった。 第一に、入学して同じクラスとなり少し経つが、神とこの公園で会った記憶は一度たりともない。 見逃すはずもない、きらびやかな男だ。 俺が気づかなくても、他の散歩女性が気づかないはずがない。 それが今朝、この天気の良い公園でコンビニ袋片手で私服姿の神と遭遇とか…これ、何のフラグだよ? 「神…なんでこんな、」 「ところで、七瀬もえ」 「って、ハジメだよぉっ!!」 ついつい、王子にもツッコミを入れてしまう。 人の声に声を重ねてきやがって。 あと、フルネームで呼ぶのヤメイ! その上名前間違いとか…わざとか? わざとなのか?! っていうか、俺のフルネーム知ってたの?! 間違ってるけど、ある意味あってる! そっちにも驚いた。 「そんなこと、どうでもいい」 人の名前を間違えといて、どうでもいい扱いかよ?オイッ!! 「おまえ、これどうしてくれんの?」 そう言って神は、肉球スタンプだらけのシャツを指先で摘まんでみせた。 名前なんかどうでもいい…はい。確かに今はそうでした。
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