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第42話 眉毛とバカとイケメンと
すると、神にすかさずスマホでパシャッと撮られる。
驚いてを神を見ると、口の端をニヤリと歪めた。
「なっ?!」
「眉毛犬とバ飼い主のバカ面写真ゲット~♪」
なんだとーっ?!!
「バカとは何だ、バカとはーッ!?」
勢いよく立ち上がって詰め寄ると、指先で払われてしまう。
そして、よろめく俺。
「あうっ」
おっと~こけるところだった。
何すんだバカ野郎、馬鹿力!!
俺、さっきから「バカ」しか言ってない気がする。
語彙力欲しいな、ほんとに切実。
あと、何度よろめいてるんだ。
しっかりしろ、足腰!
一方の神は「うぜぇ」とか言って、汚れた服をパンパンはたいた。
はたいた手を今度はパンパンして、漸くこっちを見た。
「ところで、おまえ。眉毛の散歩毎日してんの?」
眉毛とか…ハッピーだよ、ハッピー。
センスがイマイチだけど、名前呼んでくれ。
可愛いハッピー捕まえといて、何が眉毛だよ!
それにしても、眉毛とか呼ばれて自分だと分かってるのか?ハッピー。
おいっ、呼ばれて反応示すな。
今度から名前『眉毛』になるぞ!
「え、あぁ、まあ。当たり前だろ?」
俺は眉毛、…(じゃない)ハッピーの様子を視線で嗜めながら、返事をした。
「ふぅーん。あっそ」
訊いたのは自分のくせに、興味なさそうに返事をする。
すると、明後日の方向を見ながら思案していた神が突然方向を変える。
「じゃ、明日な」
チラッと横顔でそう言い残すと、俺の行く手とは反対へと帰っていった。
「え?」
唐突に別れを切り出されて、呆気に取られる俺。
「……」
俺は、なんとなく動けなかった。
その場で神が小さくなり、角を曲がって見えなくなるまでその場で立ち尽くして見送った。
何でそんな事をしたのか…自分でも分からなかった。
だけど、体が動かなかった。
そして、視線も…。
何でだろ…。
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