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第154話

アルベールが昼食を持って、シエルの部屋へ戻ると、シエルは幸せそうな顔で、寝息を立てて眠っていた。 シエルはベッドの真ん中で、少し小さく丸まっていたが、シャツが捲れて臀部が曝け出されており、そこから伸びるすらりと細い脚は、まるで陶器のような肌だった。 アルベールは思わず、その肌に自らの手を滑らそうとするが、もう少し寝かせてやろうと伸ばしかけた手を引っ込めた。 シエルの寝顔は普段よりあどけなく、少し開いた口や、安心したように垂れる眉が、より一層可愛さを引き立てていた。 アルベールが指をシエルの手に持っていくと、シエルはそれを握って微笑んだ。 「………調子狂うな」 苛立ちをどこにぶつければいいか分からず、今日もシエルを抱き潰して、この気持ちや苛立ちを誤魔化そうとしていたのに、このザマだ。 まんまとシエルの可愛さに魅了されたアルベールは、シエルの唇を触りながら怒気を発散した。 「んぅ……、アル……様?」 「起きたか?」 シエルが動き出すのを確認してから、アルベールは目隠しをとり、また後ろからシエルの視界を塞いだ。 「んー……」 「ほら、昼飯食うぞ」 寝起きでゆらゆらと揺れるシエルの肩を支え、またスプーンに食事を乗せて口に運んだ。

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