184 / 266
第184話
「まぁまぁ!ジューベル家のお子さんは粗暴なのねぇ。これじゃあ、安心して暮らせないわぁ〜」
「弟が失礼なことをして、申し訳ありません。今後このようなことがないように、しっかりと叱っておきますので…」
レベッカはバルトの腕を引いて、そそくさと屋敷の中へ帰った。
バルトはレベッカの腕を振り払い、大きな声で反論した。
「姉様!なんであんなおばさんに好き勝手言わせてるのさ!!姉様も僕も、何も悪いことしてないじゃないか!」
「バルト、落ち着いて。ここの暮らしじゃ、ご近所付き合いが大切なことくらい、わかっているでしょう?私たちはただでさえ、除け者にされているんだから…」
「だからって!!」
「バルトの気持ちは嬉しいわ。だから、そんなに怒らないで?ほら、もう夕食のいい匂いがするわ。行きましょう?」
納得のいかないような、自分達が暮らすには窮屈すぎる世の中に、幼いバルトはどんどんと世間への疑問を抱いていった。
ここに住む人間はみんな汚い。
心が汚いくせに、キラキラと輝く宝石や、高そうな衣服で着飾って、自分を良く見せようとしている。
そんなことをしたって、汚いままなのに。
姉様の方が、何百倍も綺麗だ。
そう思った。
ともだちにシェアしよう!