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第183話
「えー!不味そうーー!!」
「焦げてるー!」
「レベッカ何入れたの〜??」
バルトから見ても割と綺麗にできているなと思っていたが、町のみんなはレベッカを弄りたいがために、数少ない焦げているクッキーを摘み取ったり、歪な形のクッキーを選んだりしていた。
「そんなこと言う子は食べなくていいです〜!!」
「ごめん、レベッカー!嘘だよー!!」
ぷりぷりと怒る彼女を見て、みんなは笑顔で彼女を宥めた。
町のみんなに愛される大好きな自分の姉を見て、バルトはとても鼻が高いような、照れ臭いような、不思議な気持ちになった。
下町の子供たちとたくさん遊んで帰ってきた二人は、家に着くまでに、他の貴族たちに散々な罵声を浴びせられた。
子供に吐くような言葉ではないものまで、そんなことも気づかない大人で溢れているのだ。
しかし、そんな罵声も気にせず、レベッカは胸を張って堂々と一等地を歩いた。
「あら、レベッカったら。今日もゴミ町に住む鼠たちと遊んできたのかしら?こんなに綺麗なお洋服まで、ドロドロにしちゃって。勿体無い」
やっと家に着いたかと思えば、隣人がレベッカを、まるでゴミを見るような目で見下し、しっしと手で払った。
バルトは怒りのあまり手を上げようとしたが、レベッカはバルトの腕を掴んで首を振った。
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