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第182話
「姉様!待ってよ…!!」
「遅いわよ、バルト!あなたそれでも男の子なの?!」
「だ、だって、怪我してるんだもん……」
「えっ?!そうだったの?!早く言いなさい!この馬鹿!」
既にバルトより遥か先に進んでいた彼女は、怪我をしている弟のために戻り、ハンカチを濡らして傷口に巻いた。
そして、バルトをおぶってまた歩みを進めた。
「あー!ジューベルのお姉ちゃんとバルトだー!!」
下町に着くと二人の到着に気づいた子供たちがたくさん集まり、二人を取り囲んだ。
「もう!私はジューベルのお姉ちゃんじゃなくて、レベッカ!なんでバルトは覚えてるのに、私の名前は覚えてないの〜?!」
「あはは!レベッカまた怒ってる〜!」
性格上、子供たちにも弄られる姉を見て、バルトもくすくすと小さく笑った。
バルトの姉の名はレベッカ=ジューベル。
老若男女問わず、周りの人々を幸せにする向日葵のような笑顔を見せる彼女は、たちまち下町の人気者になったのだ。
「レベッカ、今日のおやつは〜?」
「ふふふ……、じゃーん!今日は私が焼いたオリジナルクッキーなの!」
レベッカがバスケットからたくさんのクッキーを取り出すと、周りの子供たちはキラキラと目を輝かせて近付いた。
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