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第266話

「おかえりなさいっ」 アルベールがペリグレットの城へ戻ると、バルトと一緒にシエルも入り口で待っていた。 バルトが着せたのか、ちゃんとした服も着ていて、なんだか見慣れない。 「おかえりなさい、アルベール様。シエル様がどうしてもと御願いされたので、連れてきてしまいました」 「別にいい」 「ラブリエルでの御用は、お済みになりましたか?もう夕食の支度ができておりますが…」 「なら、もう持ってきてくれ。私室で頂く」 「かしこまりました」 バルトはアルベールの荷物を持ち、城の奥へと消えていった。 シエルはアルベールのそばにいたいが、バルトに付いて行った方がいいのかと、おろおろとその場に立ち止まった。 「行くぞ」 「…はいっ!」 アルベールが声をかけると、シエルはパァッと表情を明るくして、アルベールの後に続いた。 腿の傷も痛みはかなり引き、あとは抜糸して傷の痕が無くなるのを待つだけだ。 このまま上手くいけば、傷の痕も残らずに済みそうだと医師も言っている。 「えへへ」 嬉しそうに笑いながら、自分の後をついてくるシエルに、アルベールの口角もつられて上がっていたのだった。

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