41 / 85
その35弟の現状を教えてあげましょう
「えっと、この人はフィリップ・ウィルソン。俺の会社のしゃ「たまのパートナーだ」社長!俺は、パートナーとか断固として認めてないからなっ」
「あれ?でも、トーノカンパニーの社長って確か日本人じゃ」
「たまがどうしても欲しかったからな。提携をする代わりに、たまを貰い受けた」
そんな魅力が信太郎にあるのかと、信之助はジッと見つめる。でも、どう見ても自分と同じ顔なのだ。そんな顔に魅力があるとは思えない。佐久良といい、フィリップといい。この世には変人が多いなと、オシャレなカフェで紅茶を飲みながら思った。
「でも、何で言ってくれなかったんだよ。トーノカンパニー辞めたって」
「辞めた訳じゃない!フィリップの会社と提携してる間だけだここにいるのは」
「じゃあ俺は、トーノカンパニーと提携をやめるわけにはいかないな」
「またこれだ。俺のどこなんかがいいんだよ」
「すべてだ。すべてが可愛い」
そう言って、フィリップはドヤ顔を見せた。信之助と信太郎はフィリップに呆れたが、佐久良は同意するように頷いている。
「フィリップさんも中々やりますね」
「お前もな、さくら」
同じ顔を好きになった者同士、何かが目覚めたらしい。本人達が隣にいるのに、どこが可愛いかの談義が始まった。周りに聞こえるぐらいの声で談義をするから、さっきから視線が痛い。
恥ずかしい思いをしつつ、体を小さくして信之助と信太郎は耐えた。
「そう言えば信太郎」
「何?」
「フィリップさんてイギリス人だろ?日本語めっちゃうまいな」
「あぁ。俺を引き抜くために、1週間で覚えたんだと。すげーよな。スゲーって思うだろ!」
「ふん。佐久良だってな、この前仕事で必要だからって1週間で中国語覚えたんだぞ。スゲーだろ」
「俺のフィリップは~」
「俺の佐久良だって~」
無意識で話しているから、2人も気づかない。いつの間にか、自分の隣にいる奴等の自慢話をしていることに。必死で「俺のフィリップは」とか「俺の佐久良だって」とかと自慢している。
「こう、無自覚でバカなところが可愛いんだよな」
「そうなんですよ」
そんな双子の言い合いを、フィリップと佐久良はカメラにその姿を収めながら聞いていた。
ともだちにシェアしよう!