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その35弟の現状を教えてあげましょう

「えっと、この人はフィリップ・ウィルソン。俺の会社のしゃ「たまのパートナーだ」社長!俺は、パートナーとか断固として認めてないからなっ」 「あれ?でも、トーノカンパニーの社長って確か日本人じゃ」 「たまがどうしても欲しかったからな。提携をする代わりに、たまを貰い受けた」 そんな魅力が信太郎にあるのかと、信之助はジッと見つめる。でも、どう見ても自分と同じ顔なのだ。そんな顔に魅力があるとは思えない。佐久良といい、フィリップといい。この世には変人が多いなと、オシャレなカフェで紅茶を飲みながら思った。 「でも、何で言ってくれなかったんだよ。トーノカンパニー辞めたって」 「辞めた訳じゃない!フィリップの会社と提携してる間だけだここにいるのは」 「じゃあ俺は、トーノカンパニーと提携をやめるわけにはいかないな」 「またこれだ。俺のどこなんかがいいんだよ」 「すべてだ。すべてが可愛い」 そう言って、フィリップはドヤ顔を見せた。信之助と信太郎はフィリップに呆れたが、佐久良は同意するように頷いている。 「フィリップさんも中々やりますね」 「お前もな、さくら」 同じ顔を好きになった者同士、何かが目覚めたらしい。本人達が隣にいるのに、どこが可愛いかの談義が始まった。周りに聞こえるぐらいの声で談義をするから、さっきから視線が痛い。 恥ずかしい思いをしつつ、体を小さくして信之助と信太郎は耐えた。 「そう言えば信太郎」 「何?」 「フィリップさんてイギリス人だろ?日本語めっちゃうまいな」 「あぁ。俺を引き抜くために、1週間で覚えたんだと。すげーよな。スゲーって思うだろ!」 「ふん。佐久良だってな、この前仕事で必要だからって1週間で中国語覚えたんだぞ。スゲーだろ」 「俺のフィリップは~」 「俺の佐久良だって~」 無意識で話しているから、2人も気づかない。いつの間にか、自分の隣にいる奴等の自慢話をしていることに。必死で「俺のフィリップは」とか「俺の佐久良だって」とかと自慢している。 「こう、無自覚でバカなところが可愛いんだよな」 「そうなんですよ」 そんな双子の言い合いを、フィリップと佐久良はカメラにその姿を収めながら聞いていた。

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