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現の夢6
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目の前で一筋の涙を流す夢の番人の綺麗な瞳に、心が囚われた気がした。
普段は見る機会のないプラチナブロンドは、柔らかな髪質を表すようにちょっとした動きで、ふわっと揺らめく。
その下にある顔は男とは思えないほどすごく整っているだけじゃなく、妙な色香を放っていて、見つめられるだけで誘われる錯覚に陥りそうになった。
さきほど背中に触れた肌も、何とも言えないしなやかさをてのひらに感じてしまい、ドキドキをひた隠すのにかなり苦労させられた。
「お前の熱を直に感じたい。キスして……」
「夢の番人さまに、キス、なんてそんな、大それたことっ」
「大それたことじゃない。俺のはじめてを敦士にあげるだけだ」
自分よりも背の高い彼は、跪いた状態でも目の上に顔があった。大きな瞳から流れた涙を拭ったばかりで、ちょうど頬に手を添えている。その手を使って、キスすることは可能だった。
女のように美しい色をした唇に狙いを定めながら、すくい上げる感じで触れるだけのキスをしてみた。
(柔らかくてしっとりした唇を自分の唇で受け止めるには、刺激がありすぎる!)
得も言われぬものを感じて頬に添えていた手を退けながら、慌てて顔を背けた。それなのに夢の番人は敦士を捕まえたことを示すように、躰に回した両腕の力を抜かなかった。
「は、放してください。これ以上はもうできませんっ」
「初心だな。触れただけの口づけで、こんなになるなんて……」
耳元で囁かれた事実に、ぶわっと顔全部が熱くなる。
そんなことに気を取られて油断していると、抱きしめられた片手が下半身に伸ばされた。カタチが変わって敏感になっている部分に、自分よりも小さな手を使って上下に弄られる。
「やめてくださぃ、嫌です!」
「適度に太くて長い、いいモノを持っているというのに、童貞なんてな」
履いているスラックスの上から感じるように触れられるだけで、番人の腕を振り解く力が削がれていく。
「やぁっ、あっ、んあっ……」
自分でするよりも気持ちのいいそれに身を任せた瞬間、その場に押し倒された。したたかに打ちつけた頭の痛みに顔を歪ませている間にベルトを外され、スラックスと下着が一気に下ろされてしまった。
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