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第50話
「なんでもねーって、気にするな!ほら、もう年明けるぜ!」
なんとか話をかわしながら、ヨシは言う。
「……」
アキラはムスっとしたまま、それ以上問い詰めることはせず、近くにいたヨシの頭を支えにして立ち上がる。
「ッてめーな!」
ヨシはムカっとした勢いで、アキラの腕を軽く引く…
「っ!」
アキラはそれで簡単に、フラッと体勢を崩す。
「うおッ!あぶねー」
ヨシの方に倒れ込みそうになる。
一応、アキラを受けとめながら声に出すヨシ。
「アキラ!」
みずきが驚いて近付く…
「ッ!離せよ!!」
おもいっきり顔を歪めて怒るアキラ。
「わかったって、ったく!てめーが俺の頭、支えにするのが悪いんだよ!」
ヨシはアキラを離しながら言い返す。
「そんなところに居るのが悪いんだろ!」
カッとなったまま言い返してしまう。
また子供のようなケンカが勃発しそうになって…
「何やってんだよ2人とも…」
呆れて声を出すルード。
「アキラ、落ち着いて…」
みずきがアキラの肩を支えるように立ち言葉をかけるが…
「うるさいな!」
アキラは怒りをみずきにもぶつける。
「アキラ…」
いつもよりイライラしているアキラ。
それに気付いて、みずきはそっとアキラの額に手をあてる…
思った通り、額はかなり熱くて…
「熱が上がったな…どこか具合悪いのか?」
静かに問うみずき。
「……」
「アキラ、熱あるの?大丈夫?風邪?」
アキラが答える前にルードが言葉を挟む。
「大丈夫、みずきはいつも心配しすぎなんだよ」
アキラは短く微笑んでルードに伝える。
「そーそー、フラフラしてんのは酔っ払ってるからだぜ!」
ヨシがまた余計な一言を挟む…
アキラはムッとした表情を見せるけれど、溜息をついて無視していく…
「ヨシ!」
みずきはいい加減にしろ、とヨシを叱る。
「ムゥ…」
みずきに叱られてちょっと拗ねるように黙るヨシ。
みずきは体調悪そうなアキラが気になり、そんなヨシに構っている余裕がなくて、ひとり洗面所の方へ消えたアキラを追っていくみずき。
たぶん、ルードたちがいる場所では、本当の事が言えないのだと確信して…
「アキラ…」
部屋の奥にある洗面台の前、ハブラシなどと並べて置いてある薬を飲んでいるアキラ。
「……なに?」
苛立ったようにみずきを一瞬見て答える。
「…どこが辛い?」
アキラをこれ以上、怒らせないように…そっと肩に触れて優しく聞いてみる。
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