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第146話

「…あぁ」 そんな可愛らしい仕草に軽く動揺しながら二回ほど頷くみずき。 「ったく、急に追いかけていくからびっくりするだろ」 やれやれと、立ち上がりながら言うアキラ。 「あぁ、すまない…あのくらいなら追いつける気がしたから…」 さりげなく手を添え、手伝いながらそう答える。 「お前な、犯人が丸腰とは限らないんだからな、不用意に犯罪に巻き込まれるなよ、怪我したらどーすんだ」 「あぁ、大丈夫だから、ありがとうアキラ」 ツンケンした言い方だが、アキラなりに心配してくれていることが伝わって、みずきは微笑みお礼を言う。 「まったく後先考えないんだから」 まだ、呆れたような口調だが、笑顔を見せる。 そんなアキラを見て…優しい笑顔で… 「アキラが無事でよかった」 そっとアキラを抱き寄せながら囁くみずき。 「は?」 危険に突っ込んで行ったのはお前だろ?と首を傾げるアキラだが… 「いや、帰ろうか…」 そう優しく微笑むみずき。 「はいはい…」 首を傾げながらも自宅を目指し歩き出す。 バレンタインの日に図らずも女性を人助けをしたみずきだったが、チョコを貰うわけでも、お礼を受け取るわけでもなく… そんなことは忘れて、何事もなかったように過ごす。 みずきにとってはアキラの笑顔が見られれば他には何もいらないから… 自宅に帰って… 昼ご飯をアキラと一緒に作って食べて… 悪戦苦闘しながら、アキラの為に、初のチョコレートムース作りに挑戦するみずき。 その様子を面白そうに見て、突っ込みをいれているアキラ。 何気ないアキラとの日常… その全てがみずきにとっては貴重で、大切な時間… これからも…この幸せがずっと続いていくことを願っているみずきだが… そんなささやかな幸せを引き裂く不穏な出来事が… すぐ側まで来ていることを… 2人はまだ知らないでいた… 。 《バレンタイン?》終。 【スナオになれない③】完結。 続編【スナオになれない④】へ。

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