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第145話
「はぁ…良かった…あ、あの…」
バッグが戻ってきて、息をつき、顔をほころばせる女性だが…
「じゃ…」
返事を待たず、みずきは颯爽と走り去る。
「あ、ありがとうございました!何かお礼を…」
走り去るみずきに話し掛ける女の人だが…
みずきの心は、路地に置き去りにしてしまったアキラのことが心配で…
ゆっくり聞いている余裕がなく…
一目散にアキラが待つ場所に走って戻る。
「ッ!?」
「アキラ!?どこだッ!」
しかし、戻って来ると、そこにいるはずのアキラが居なくなっていた…
冷や汗をかくみずき…
そこへ…
「みずき、こっち」
後ろから、聞き慣れた声…
はっと振り返り…
「アキラ!良かった…」
アキラの姿を確認して安堵する。
「こっちに座るところあったから…座ってた」
反対側の道沿いにあるバス停のような場所に座っているアキラ。
「そうか…」
アキラのもとに戻って来て…
ほっと息をつく…
「あ、荷物も、すまない、大丈夫だったか?」
「ん、まだこれくらいなら運べたから大丈夫」
「そうか」
「んで、犯人捕まった?」
みずきの顔を下から覗きこんで…
走ったためか、やや乱れたみずきの前髪をそっと直しながら…やわらかく聞くアキラ。
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