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かなてぃの恋③
高1の冬だった。
とある日の放課後、俺は、結城が男から告白されているところを見てしまったのだ。
渡り廊下付近の人気のない場所に、結城と、いかにも平凡な奴が一緒にいた。
結城は、帰宅するところだったようで、鞄を肩にかけ、マフラーを巻いていた。
相手の男は、見たことがなかった。
同学年はだいたい顔がわかるから、先輩だろう。
接点のなさそうな2人の不審な雰囲気が気になり、俺は隠れて様子を伺っていた。
「ゆ、結城くん、俺の事わかる?たまに電車一緒なんだけど」
何言ってんだこいつ。そんだけでわかるわけねーだろ。と俺は声には出さずに突っ込む。
「…すいません」
案の定、結城は困った顔をして小さく言った。
「そ、そうだよね。ごめんね。で、でも俺はずっと君の事を見ててさ、いや、気持ち悪いかな、とは思うんだけど」
かな、じゃなくて気持ちわりーよ。
一体何なんだよ。
「結城くん、君が好きだ!!」
ブホッ
まじかよ
これガチなやつか?
突然、告白しやがった。
「ずっと君のことが気になっていたんだ。なかなか話しかけられなくて、でも、君の事が頭から離れなくて、そしたらこの間、別の奴に告白されてる君を見て、居ても立ってもいられなくなったんだ。俺じゃ、だめかな?」
そいつは、まくしたてるように言った。
これ、ガチなやつじゃん
空はずっと困ったような申し訳ないような、なんとも言えない顔をしながら黙ったいたが、少しの沈黙のあと、静かに言った。
「…ごめんなさい」
結城は頭を下げて謝っていた。
「え、あ、そ、そうだよね。喋ったことすらないもんね、はは。あの、どうしても駄目かな?」
そいつはなんとか引き下がろうとしていた。
「ごめんなさい、先輩の気持ちには答えられません。」
結城は、今度はハッキリと言った。
そして、硬直しているそいつに軽く会釈だけして、その場を去った。
こっちに向かってくる。
「かなてぃ…?」
あまりの衝撃に隠れる事を忘れていた俺。
結城と目があってしまった。
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