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続・かなてぃの恋④
ひよし先生のいきなりの質問に固まってしまった。
「マジすか、それ聞いちゃいます?」
「いいだろ、減るもんじゃねーし。やっぱ顔か?」
「ち、違いますよ!いや、まぁ、そりゃ顔は可愛いっすけど。なんつーか、結城といると楽しいんすよ。しっかりしてそうで天然だし、自分のことよりも他人の気遣いばっかりするし、馬鹿みたいに優しいし…」
「お前、わかってるな」
ひよし先生はうんうんと頷きながら言った。
「あと、あいつ、自分の可愛さがわかってないんすよ。だから危なっかしくて放っとけないっつーか」
「そうなんだよ!あいつ無自覚すぎるよな!」
ひよし先生はいきなり俺の肩を叩いて言った。
どうやら、ひよし先生も、結城に同じ事を思っているらしい。
「はい…。前にも見知らぬ先輩に告白されてましたし」
「何!?誰だそいつ」
「いや、あまりに平凡な顔だったんで、もう覚えてないっす」
「はぁ…、あいつ、そういうこと報告してこねーからな。こないだ痴漢にもあったらしいんだよ」
「マジっすか!?」
「あぁ、しかも、問い正してみると、痴漢に合うのは一度や二度じゃねーらしい。」
「…許せないっすね」
「だろ?なのに空は、『過ぎたことだからいい』とか言いやがるんだぜ」
「でも、その優しいところが結城のいいところではありますけどね」
「まぁ、そうなんだけどな。何処の馬の骨かもわからねーオッサンに空が身体を触られてるって考えると、怒りが抑えられねーよな」
「確かにそうっすね」
なんか、気が付くと俺らは、結城についてあれこれ語り始めていた。
しかもかなり意見が合う。
最初はいがみ合っていた筈なのに、暫くそうやってひよし先生と話をしているうちに、かなり意気投合してしまった。
「一応、俺の空の関係は秘密だから、こういう話、誰とも出来なくてさ。吉井が未成年じゃなければ飲みに行きたいところだぜ」
と、暫く会話したあとでひよし先生が言った。
「同感っすね。でも、一応俺らライバルっすからね?」
そこんとこは釘を刺しておいた。
つーか、そもそもの馴れ初めを聞きたかったんだが、なんか意気投合したままその場はお開きになってしまった。
まぁいいや。
ここまで聞いちまったんだ。馴れ初めについては結城本人に聞いてやろう。
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