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(日常小話)見つめる先には①
Side 空
放課後。
委員会の仕事が終わり、帰宅しようと下駄箱を出た。
数人の生徒がグラウンドでサッカーをしているのが見えた。
楽しそうだなと思って眺めていると、一際背の高い目立つ人影が…
え、ひよしさん!?
なんとひよしさんが生徒達に交ざってサッカーにうつつを抜かしていた。
しかも、すごい楽しそう…
僕はため息をつく。
もう、何してるんだろう。
ちゃんと仕事してよ。
呆れながらも、ついついひよしさんの姿を目で追ってしまう。
サッカー、うまいなぁ。
さすが体育教師。
あ、ゴール決めた。
なんか生徒より楽しんでない?
あんなに汗かいて、夢中になって…
「子供みたい」
思わず声に出して、クスッと笑ってしまった。
生徒に交じって無邪気に遊ぶひよしさんから目を離せなかった。
その無邪気さがなんだか可愛かったし、サッカーをする姿はカッコイイと思った。
ふと、ひよしさんと目があってしまった。
ついじっと見てしまっていた事にハッとして、僕は咄嗟に目を反らしてしまった。
すると、ひよしさんが小走りで近付いてきた。
「よ、空。帰るのか?」
「う、うん。帰る」
じっと見てしまっていたのが気まずくて、ちょっと伏し目がちに答えた。
「一緒にサッカーやってくか?」
「ううん。僕、球技苦手だし」
「そうだっけ?ダンスはあんなにうまいじゃねーか」
「ダンスは球技じゃないもん」
僕らはいつもの調子で会話をする。
学校では、僕らの関係は秘密だから、校内でひよしさんと話をする時は少しドキドキする。
でも、今は…。なんでかな、いつも以上にドキドキしていた。
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