243 / 284

(日常小話)今日もあなたを。

※話の途中で差し込んですいません。 Side 空 ひよしさんと付き合うようになって1年が経った。 もう1年かぁ。 ソファに腰掛けてビールを飲むひよしさんを見ながら、感慨深く思う。 夏に付き合い始めて、一緒に暮らし始めて、誕生日も祝ってもらった。 サプライズなんて初めてだったから嬉しかったなぁ。 初めて喧嘩したのは秋。 些細な喧嘩だったけど、僕が泣いちゃって、ひよしさんが謝ってくれた。 冬はなんだか不思議だった。 今までの冬よりなんだか温かく感じたから。 春は一緒に桜を見に行った。 春の風が温かくて、少し切なく感じたのを覚えている。 そして、また夏がきた。 今年の夏は、海に行ったり、花火を見に行ったり、ひよしさんがたくさんの思い出をくれた。 「空ー?何ぼーっとしてんだ?」 ひよしさんの言葉でふと我に帰った。 「んーん、何でもない」 「俺の顔じーっと見て、イケメンだなーって再確認したか?」 「そんな事ないもん」 そう言うと、ひよしさんに近付き、隣にちょこんと座った。 ひよしさんは僕の肩を抱き寄せてくれる。 この1年、ひよしさんは僕にたくさんの"初めて"をくれた。 今年も夏が終わる。 もうすぐ秋が来るね、ひよしさん。 ひよしさんの心臓の音に耳を澄ませたくなって、僕はそっと目を閉じた。 END

ともだちにシェアしよう!