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第1話
「持ち物を全てここに置きなさい」
静かに堅い声音で告げられ、手錠を外された青年は手荷物のカバンとポケットに入っているものを台の上へとガタンと置いた。
「名前を名乗りなさい」
命令形の言葉が、ひどく耳について仕方がなかったが、長身を伸ばして係員へと向き直る。
「鹿狩統久 です」
よく通るテナーの声で告げると、係員は軽く頷き手にしている端末と彼の顔を確かめた。
ここは、性犯罪を犯したオメガ専用の更生施設である。
しかし、彼はどう見ても性犯罪を犯すタイプではなく、またオメガと呼ばれる性タイプにはあまり見かけない容姿をしている。
「身体検査だ、ここで全部服を脱ぎなさい」
思わず鹿狩が躊躇すると、係員はイラッとしたように舌打ちをして、彼のシャツを掴んだ。
「自殺をされては困るのでね。武器がないかきちんと確認をおこなうルールだ」
威圧的に警棒をしならせて早くしろとパンと台を叩く。
鹿狩はシャツに手をかけてすぐに全裸になると、軽く汚れた天井を見上げる。
犯罪者に、人権などは期待はできないが予想を上回る扱いだなと溜息を漏らした。
警棒で軽くはたかれ両脚を開かされると、珍しがるように鋼のように鍛えた肉体を眺めてから、ゴムの手袋をはめる。
「毒物や、ドラッグをここに隠して来る者もいたのでね」
慣れた手つきでローションを掛けて無遠慮にアナルへと指を押し込む。
「.....でッ、な、に、.....ッく」
性的な意思をもった動きで中を探られ、鹿狩は堪らず奥歯を噛み締めるが、声を漏らしてしまう。
明らかに中を探るだけでない動きに、ピクピクとペニスが膨らみ腹につくくらいに勃ちあがる。
「検査だというのに、だらしが無いな。所詮、お前らは繁殖用だからなあ」
見下した視線を向けて、鹿狩に数字の刻まれた首輪を嵌めると、着てきた服をゴミ箱へと投げ入れる。
囚人服などがあるのかと思うが、首輪に鎖を付けられて手錠を嵌め直されると、そのまま鎖をひかれる。
「服は?」
「前に服を裂いて首を吊った奴がいたからな。所内は空調もしっかりしているし別に要らないだろう」
そう告げられ、鹿狩は少し目を見張ったが、スースするとつぶやくと、係員の後をゆっくりと付き従った。
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