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秋良の叫び声と共に、扉が激しく開かれる音が響き渡る。
驚いて脩はそちらに目を向けると、見に覚えのあるスーツ姿の男たちがせわしなく駆け込んできた。
荒々しい足音と、男の怒声が混じり合いホールが喧騒に包まれる。
脩は何が起きたのか分からず、呆然とその光景を見つめた。
次々と、田端家の使用人たちが拘束されていく。
やっと助かったのだと分かり、脩の全身から力が抜けていった。秋良の手を離すと、短刀が滑り落ち、鈍い音を立てて地面に落ちた。
気づいた時には、秋良が脩に抱きつき体中を震わせていた。秋良の柔らかい髪が頬に当たり、安堵の気持ちが湧き上がってくる。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
秋良が脩の胸の中で繰り返し呟いては、嗚咽を零している。優しく髪を撫でながら、「大丈夫」と脩も繰り返す。
「脩さま、お怪我はございませんか?」
背の高い影が落ち、脩は顔を上げた。清治のお付きの人である冴木が、脩のそばに立ち眉間に皺を寄せている。
「どうしてここに?」
ハッとして、脩は目を見開く。ここにいる事は誰に
も言っていない。知るはずがないのに、何故世良家の人間がいるのだろうか。
「話は後です。あなたも一緒に来てもらえますね?」
最後のは秋良に向けて言ったのだろう。秋良が青ざめた顔をあげると、微かに頷いた。
冴木に連れられ、二人で車に乗り込んだ。
車が走り出し、安堵感から全身の力が抜け落ちていく。シートに体を預けて、暗い窓の外を眺めた。来るときには目隠しされていてわからなかったが、思いの外長い距離を走っていたようだ。
「どうして、あの場所が分かったんですか?」
なかなか口を開かない冴木に、脩から問いかけた。
「脩さまの言伝を聞いて、公園に行って様子を見てくるようにと、清治さまから仰せつかりまして」
なんで清治が公園だと分かったのだろうか。場所まで言ってはいないはずだ。
「清治さまは、外に出れない自分に遠慮して、場所を言えなかったのではないのかと……。行く場所で思い当たるのはそこぐらいだと、笑っておられました」
脩は思わず苦笑いする。清治は気づいていたのだ。やっぱり兄弟なんだなと思うと、感慨深かった。
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