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 お盆開けまでにはある程度の目処を付けて、お盆が開け次第すぐにでも部屋を決めようと話がまとまった。  家具についても目星をつけて、とりあえずは今の部屋には布団だけ確保する。  会社が始まるまでの三日間、脩は実家と秋良の家を行き来しつつ、今までで一番充実としたお盆を送った。  会社が始まると、今まで通りの日常が始まった。変わったことといえば、秋良との関係が深いものになったこと一番大きい。  賃貸解約のギリギリでマンションへの契約が決まる。  会社からもほど近く、電車で二駅ほどの距離だ。電車に乗らずに会社に通うなると、さすがにオフィス街ということもあって家賃が急激に上がってしまう。  そこで、二駅離れた場所に借りることに決まった。実家から通うよりも少しだけ距離が縮まったことで、気持ち的には楽に感じる。  秋良と家具を見に行ったり、食器を揃えていくのは新鮮な気持ちに加え、何だか落ち着かない。  初めて親元を離れて暮らしていく不安が少なからずあった。何もかも初めてづくしのことが、これから始まっていくのだ。  脩は家事をあまりしたことがない。専業主婦の恵美子が何から何まで、やってくれていた。一方で秋良は大学時代から一人暮らしをしていたようで、家事の仕方はそれなりに分かるようだった。  会社では脩が先輩だが、家に帰れば秋良が先輩となるのだろう。  実家を出る最後の晩は家族揃って食事を取る。最後の晩餐のように、脩の好きなもので彩られた食事がテーブルには並べられていた。恵美子は複雑な表情で食事をしていたが、取り乱すこともなかった。 「できるだけ、顔見せにきてね」  恵美子は力なく笑いながら言葉を発していく。さすがに心が少し痛んだが、脩は「もちろんだよ」と返して口角を上げる。  寂しい気持ちを押し隠すように、脩は箸を動かし続けた。

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