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「………音量さげた?」 「さ、げ、ま、し、た」 「く、くそー…いちいち腹立つな」 「それはこっちの台詞だ」 「まあいいや。サンキュー」 なんだかんだ言いつつ言うことを聞いてくれたみたいなので素直にお礼を伝えれば、織田はジト…と目を細めてこちらを見やる。なんだよ。 何か言いたいことでもあるのかと見返すが、織田はお得意のプイッで顔を背けてしまった。 い、意味がわからん… でもきっと今は暴言しか吐かれない気がするので、こちらから聞くのはやめておこうと俺も織田から目を逸らす。 奴の音量を下げさせることに無事成功し、これでようやく明日からは平穏な朝が迎えられるとホクホクしながらトーストを食べ終えた俺だったが、問題はその後だった。 ーーー 「いや、なんで、お前も、一緒にくんの…っ?」 「今日の勘違いも絶好調だな。俺が出るタイミングとアンタの出るタイミングが同じなだけだろ」 「………はいはいそうですね。じゃあ、お先にどうぞ」 「は?」 「え?いや、だから、先に行けって」 「アンタ俺と一緒に行くのが嫌なわけ?」 「それなんか前にも同じような台詞聞いたな!そもそも最初の日、先に行ったのお前だろ!」 「気が変わったって昨日言っただろ」 い、言いましたけどぉ… 俺たちが何をゴタついているのかというと、狭い玄関の前で正に文字通り押し問答を繰り広げているのである。 律に一緒に登校しないで、と言われたので俺はなんとしてでもこいつと一緒に行くわけにはいかない。 それに変な噂が立ってる今、2人で居るとこを見られるのは噂の助長になって良くないと思うんだよ。俺はね。というか誰が考えてもそうなると思うんだよね。 なのに、こいつときたら。 何がしたいんだ、ほんと。 「昨日噂が立ってたの忘れたわけじゃねえよな?お前だって俺とデキてるなんて言われて嫌だろ、憤慨するだろ」 「どうでもいい、噂なんて。ただの噂に振り回されんな。いいから行くぞ」 「織田………ってときめくか!無駄に格好良い風の台詞吐いてっけど分かってんだからな!お前は俺が悪口を言われて楽しんでることくらい!」 「…なんだ気付いてたのか。じゃあ余計気にすることないな」 ヒイイイイ鬼かよおおお

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