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完全なる説教タイムに本気でしょぼりしてしまい項垂れながら返事を返す。 よくよく考えてみれば、織田大丈夫かな?なんて余計な気を回さず大人しく律の試合を見ていれば、起爆スイッチを押してドーベルマンに噛み付かれることもなくドMな変態…先輩達にも絡まれなくて済んだんだもんな。律の言う通りだ。 「…以後、気を付けます」 掴まれた腕に視線を落としながら小さく呟くと、やっと律の手の力が緩んだ。見ると握られた跡がほんのり赤い。 それに律も気が付いたのか残った跡にもう一度、今度はそっと手の平で触れる。先程までの不穏な空気が嘘のような優しい触り方に視線を上げると律は何故か微笑んでいた。 「痛かった?」 「…それなりに」 「ん~、そっかあ。ごめんね」 ごめんねとは言いつつ確実に思ってないであろう表情に、むっとして睨むが律はどこ吹く風で笑顔を浮かべたままだ。 「なに笑ってんだ」 「え?俺笑ってる?」 「無意識かよ…」 大丈夫かこいつ。逆に怖いわ。 まさか織田との恋愛に溺れておかしくなっちゃってるんじゃないだろうな。 「お前ちゃんと俺のこと見えてる?」 律の手の中から腕を引きながら嫌味を込めて言う。一度パチクリと目を瞬かせたあと嫌味だと気付いているのかいないのか、楽しそうな笑顔のまま目を細めた。 「見えてるに決まってるじゃん。俺は智ちゃんしか見てないよ」 「…よくもまあそんな大胆に嘘がつけるな。それ、俺じゃなくて織田の間違いだろ」 「…あれぇ、バレた?」 バレるわい。見え透いた嘘をつくんじゃない。 まあ、でも俺のこともうっすらとは見えてるみたいだし、今日のところは大目に見てやるか。 「てかー智ちゃあーん、俺お腹減ったあ」 言いながら、ん~と背伸びする律。いつ間にかいつもの律に戻っているし、俺を呼ぶ声も普段通りでホッと胸を撫で下ろす。 「食堂食べ放題のやつ貰ったんだろ?食べに行けよ」 「心配しなくても智ちゃんのご飯が一番だよ~」 「んなこと聞いてねえし!…つか、俺も腹減った」 「ねー。あ、そうだ。玲哉にもコレ渡さなきゃ。玲哉どこにいるの?」 「織田…は、知らない。多分、寮に戻ってんじゃねーかとは思うけど」 「そうなんだ。じゃあ戻ろっか」 「お」 「お?」 「俺、トイレ行ってから戻るから先行ってて!」

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