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つーか!!織田あいつ!ホントに!何度も言うけどバカだろ!もう意地でも当分魚は食卓に出してやんないからな!なんか腹たってきた! 「智…」 「あの、さ!確かに前約束したし、勝手に織田んとこ行って怒ってんのかもしんないけどさ、俺は2人の仲をどうこうしようなんて微塵も思ってないから!少しは俺のこと信用しろよ!…つーわけだからもう部屋戻ろうぜ」 正直織田のいるであろう部屋にはまだ戻りたくなかったがこうなってしまっては仕方ない。律に質問攻めにされるより、織田を交えて3人で居た方がまだマシだ。 寮の方向に足を向けようとしたのに、またもや腕を掴まれてしまう。 「俺がなんで怒ってるのか…なーんも分かってないよね」 「は?…ちょ、っ」 そのまま両手を取られ力が加わる。抵抗する俺をいとも簡単にねじ伏せて体ごと律の方へ引き寄せられた。 まるで大人が子供の両手を掴んで「だめでしょ!悪いのはこの手!?」と怒ってる時のような図だ。 …これじゃ俺確実に説教コースじゃん。 「り、律!一旦落ち着こう!」 「この手で触ったんでしょ?」 「話せば分かっ………手?」 「智の、手が、玲哉に」 「…………それ、は…」 掴む力が強くなる。じわりと圧が加わる力加減に、たまらず眉間に皺が寄り身をよじるが律は離してくれない。 「律、ちょっと痛い…」 「どうして俺の言うこと聞いてくれないの?なんで俺の視界から消えて玲哉のとこ行くの?」 律の視線が突き刺さる。そりゃ勝手に居なくなったのは確かに悪いと思ってるが、湿布貼ったぐらいでそこまで怒るか?触れたっつってもほんの少し指先が触れただけだぞ。 …まあ実際はそれ以上のこともあったわけだが、律はそんなこと知る筈もない。 指先が触れた、たったそれだけの事が律には許せないのか…? めちゃくちゃ愛されてんじゃん、織田くんよ… いや、感心してる場合じゃないな。分かってるんですけどね、脳が現実逃避しよう!今直ぐ!今夜の晩御飯のこと考えよう!って囃し立てるんですもん。とりあえず律の怒りを鎮めねば… 「……ごめん」 「なんのごめん、それ」 「勝手に居なくなって織田んとこ行ってごめん、の意」 「…1人で勝手にどっか行くからあんなセンパイ達にも絡まれるんだよ、分かってる?」 「うっ…それは、うん…ほんと来てくれて助かった」 「これからはちゃんと俺の言うこと、聞いてくれるよね」 「……うい」

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