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俺が織田と2人、保健室で何かしていたとでも思ってんのか?んなわけない……あるのか、今回は。 ああ…もう、織田のバカ… 「あれだよ、織田めっちゃ接触されて結構痛めてたみたいだから、湿布貼ってやってたんだよ。筋?痛めたみたいな?」 「それだけ?」 「……それだけ!律が心配するようなことはなにもない!」 ということにさせてくれ。嘘なんてつきたくないけど、なんでもかんでも素直に話せばいいってわけじゃないと思う。 それにあれは完全に俺に対する嫌がらせだ。事故だ。話して無駄に律の気持ちをザワつかさせる必要はない。 「………」 「………」 とは言っても… 律の視線が痛いなコレ。 居た堪れなくなって、そろ~と視線を斜め上に逸らしてみる。 が、ガシッと頭を掴まれて再び顔が律の方へ。無理矢理方向転換をさせられた首が軽く悲鳴を上げた。 織田じゃないけど筋でも痛めたらどうしてくれるんだと言おうと律の顔を見たが、言い掛けた言葉は喉の奥に落ちていった。 目の前の律の表情が暗い。 いつぞやに見た鳥肌の立つような表情にギクリとする。 「………なんで俺から目ぇ逸らすの?」 頭を掴んでいた手がするり、と落ちてきて俺の頬に添わされる。それは同時に織田に噛み付かれた箇所に近付いたことにもなり少し息を飲んだ。 血が出るくらいだ。きっと跡も残ってる。見られたら終わりだし、これだけは何としてもバレちゃいけない。 咄嗟にバッと律から離れた。 だってもし噛み跡なんて見られてみろ。こんなの上手い言い訳が思い付かない。友達が自分の恋人に噛み付かれたなんて知ったらどう思うんだ? 俺だったら意図が分かんないから困惑しかないけど、律はどうだろう。最近たまに律の考えてることが分からなくなることがあるんだよな…

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