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「は?突然の悪口やめろ」 「隠しごと?」 「してません」 「ほ〜」 やはり目敏い律が俺の頬をつんつんしてくる。 ちゃんと爪を切っているので爪が刺さるなんてことはないが、周りが羨ましそうに見てるから今すぐやめて頂きたい。みんな遠慮すんな。いつでも変わってやる。 「やっぱり仲良いよな。ふたり」 藤白が俺たちを見おろしながら笑った。 そんなしみじみと言われると照れるが、確かに仲はいいだろう。お互い反論する理由もないので「まあ…」「長いもんねえ」と返す。 「もしかして昔付き合ってた関係だったりする?」 そして突然の意味不明な爆弾投下に開いた口が塞がらなくなった。 投下された爆弾は意味不明過ぎて爆弾のくせに割れてない。俺たちの背後にボールみたいに柔らかいアニメチックな黒い球体が跳ねて行った。 「俺…ノンケだって…言ったじゃん…」 あまりの衝撃にありもしない爆弾の後を追って震えながら後ろを振り返るが、そこにはいつも通りクラスメイトの机が並んでいるだけだった。 「藤白、そういう誤解は良くない。本当に良くない!俺たちの関係はそんな好きです嫌いですでは別れましょうの簡単に切れる関係だと思ったら大間違いだから!」 「はは、ウケる」 「嘘でしょ」 関係性を熱弁している横で笑う律。バカにしてるよな、その笑い方。 お前との事を真剣に語ってんだけど!?俺! 「ウケんの?」 「ウケるよねえ、藤白クン」 「俺?」 どうやら律がウケていたお相手は俺ではなく、問題発言炸裂の藤白の方だったらしい。キョトンとする藤白を見上げながら、律が横から俺の首に両手を回してきた。 「俺が智ちゃんと付き合ってたなんて冗談、面白すぎるでしょ。そんなんだから智ちゃんに天然だとか言われるんだよ〜?」 「バッ…告げ口すんな…ッ」 悪口ではないが、自分以外の口から言われると居心地が悪い。つか、なんでこいつは俺に抱き付いてきてんだ。今日もいつも通りパーフェクトにいい匂いだけど、こんなとこ織田に見られたらどうするんだよ。被害に合うのは俺だぞ。 「天然?天然は何故かよく言われるな。でも俺そんな面白い事言った?2人がすごい仲良いから、もしかしてって思っただけなんだけど」 「仲は良いよ。もちろん。智ちゃんのオトモダチは俺だけだもんねえ?」 「待て俺には最近白鳥がっ…」 「あはは、待って。智ちゃんまでそんな面白いこと言わないでくれる?1年そこらの時間過ごしただけの相手と一緒にするの?この俺を?」 そう言われると縦には頷けない。 律と過ごしてきた時間は多分誰よりも長くて濃厚だ。下手すると家族よりも一緒に居たと思う。 変な話、もし天秤の両側に律と白鳥くんが乗っていたとしたら…どちらに傾くかは明白だ。ごめん。

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