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正直モノが馬鹿を見る

冷静になって考えると、そもそも馬鹿正直に言うことを聞かなくても良かったんだ。 ここは嫌だという気持ちを行動で表すべく、織田の細い指に噛み付いてやればよかった。 と、後になってみれば色々言えるがそんなことしてみろ。倍返しされる未来が手に取るように分かるし、最悪奥歯ガタガタ言わされちゃう。 「末永」 「あ?」 「ケーキちゃんと食った?」 「あ……あー」 次の日。 珍しく藤白が織田ではなく真っ先に俺の元へやってきた。 「ケーキ?」 わざとらしく首を傾けてとぼけてみる。藤白も同じ方向に首を傾けた。 「もしかして好きじゃなかった?」 「まさか。好き好き」 「智ちゃん甘いの嫌いじゃないもんねー」 「…ねー」 まさか律が真横にいるのに、堂々とケーキのことを聞いてくるとは思わなかった。 律の前で聞いてくることで、口止め料の責任を明らかにしてきてる気さえする。藤白はもしや天然ではなく、天然の皮を被った策士なのでは、と疑惑が浮かぶ。だとしたら怖すぎるんだけど。 「そういえば昨日すぐに食べなかったんだっけ?なんで?」 …律よ。 今こそ織田のところへ行くべきじゃないのか。俺に余計な質問してる暇があったら、藤白は俺がここで食い止めといてやるからよ。なんてアイコンタクトで伝えようと思ったが、窓際に織田の姿がない。石田くんはいる。トイレか? 「…や〜、あん時ちょっと腹いっぱいで。あとで食おうと思っただけ」 「そうか。美味しかった?」 「…ロールケーキ?」 「ロールケーキ」 チワワの如く二度目の首傾げ。可愛くないのは百も承知だ。 またもや俺の真似をしたチワワ藤白は多分ファンが興奮するクオリティ。顔がいいからなんだってんだ!藤白ってば意外としつこいし、抜かりない。 チラ、と横にいる律を盗み見る。こちらはこちらでアホみたいにイケメンだが、不毛な会話を繰り返す俺達を不思議そうな顔で見ている。 気付かれたら気付かれたら面倒なのでこれ以上引っ張る事はできず、俺は観念して頷いた。 「…美味かったよ」 「よかった!安心した」 「おー、ご馳走さま」 安心させてしまった…すまん律…俺はお前の親友失格だあああ 「なになにー?智ちゃん、変な顔」

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