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目を瞑った。脳内で何度も、コレはアイスの棒。溶けたクリーム味のアイスの棒。織田の指なんかじゃない。女の子…そうだ!可愛いツンデレ女子の指だ!と念じて眉間に皺を寄せながらそろり…と舌で指に触れる。
「……」
甘い。
とろ、と口の中の熱でとろけたクリームが舌先に広がった。
俺の動きに合わせるように、織田の指も奥へと動く。
「…う…、っ」
舌に押しつけてくるような動きと、口の中に自分の意思とは違うものが動いている状況に、込み上がってくる羞恥と火照り。
意味が分からないしムカつくのに、思春期真っ盛りの男子高校生の俺はどうにもエロさを感じてしまいそわそわしてしまう。ドMか…俺はドMなのか…
「…」
いや、落ち着け。俺。
こいつ相手にエロを感じるなんて無意味だ。虚しいだけだ。
織田がなんでこんなことするかなんて分かりきってるだろ。俺が嫌がるから。ただそれだけだぞ。
溢れそうになる唾液をクリームごとごくんと喉へ流し込んだ。
憎たらしい織田を睨みつけてやろうと目を開ける。
視界の先にあったのは、ただ真っ直ぐに俺を見つめる視線だった。
「……は」
「と…、……顔、洗えよ」
――と?
何を言いかけたのかサッパリだが、ハッと我に返った織田は俺の口から指を引き抜くと、ソファーから立ち上がる。
「!手!お前こそ手ぇ洗えよ!?」
「うっせえ!洗うに決まってんだろ!」
いや、言いたいことは他にもたくさんあったのだがそれ以上に俺のヨダレまみれの手が気になって叫べば、被せ気味に怒鳴り返された。
洗面所に消えた織田を確認して、机の上に置かれた何も乗っていない皿を見下ろす。
そして、クリームまみれではなくなったとはいえベタつく口元を押さえた。
あーあ…食っちゃった………
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