4 / 4
第4話
アキの口から僕の名前が出てきて、泣きそうになった。
けど、自分の口からでるのは憎まれ口。
「知るか……っ」
「ねえ。……俺の渇き、癒してよ」
アキの手が勝手に、僕の顔から眼鏡を外す。
ぼんやりとしか見えないアキの顔。
歪んでいるが、泣いてるのか、笑っているのか。
それすら、わからない。
……だから僕は。
「……僕のこと抱いてアキの渇きが癒えたら、もう女のところに行かない?」
「行かない。約束する」
ゆっくりと髪を撫でると、額に口づけを落とされた。
「なら、いい。
……それに僕は、アキの帰りを待ってた、から」
近づいてきたアキの顔は、嬉しそうな笑顔だった。
それから僕たちは――。
【終】
ともだちにシェアしよう!