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第3話

「ほんとに俺の帰り、待ってないのか? 嘘、つくなよ」 ゆっくりとアキの手が、僕の頬を撫でると、ぞくぞくとした感覚が背筋を駆け上る。 視線をそらせなくてじっと見つめ返し、理性で抑えた言葉を絞り出す。 「ほんとに待ってない、から」 渇いた喉からでた声は、酷く掠れていた。 そんな僕に、アキが薄い笑みを浮かべる。 「待ってたよな、俺のこと。 だから俺は、毎日ちゃんと帰ってきたのに」 チュッ、耳の後ろに落とされた口づけに、血液が一気に沸騰した。 「お、女のにおいさせたまま、こんなこと」 「におうわけないよな。 だってシャワーでにおいも感触も全部、落としてきたし」 チュッ、再び落ちた口づけに、抵抗しようと身を捩る。 「毎日毎日、女抱いてるくせに」 「抱いても抱いても、渇いてる。 たぶんきっと、女じゃ満たされないんだと思う」 くすり、また口づけを落とし、おかしそうにアキは笑ってるが、なにがおかしいのかわからない。 「じゃあ、そういう相手捜せばいいだろ!」 「そこらの男でもダメだと思うんだよね。 ……きっと、ケイじゃなきゃ」

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