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Ⅰ ラストサムライ③
追っ手はまいた。
赤い絨毯を走り、一気に二階に上がった。
警備はいない。
ずいぶん、なめられたものだ。
だが。
(なんだっていいさ)
これは好機だ!
天は俺に味方した。
あの男の命は今日で尽きる。
俺が終わらせる。
この国のために
死ね
壁に背をつけた。
警備がいないとはいえ、ここは敵地。犬養の別邸だ。
如何なる罠が張り巡らされているとも限らない。壁を背にして慎重に進む。
慌てるな。
奴を追い詰めた。
階段はこの一つだけだ。退路は断った。
執務室はもうすぐだ。
角を曲がって、すぐ……
……二番目の角部屋
第三執務室だ。
カチャリ
安全装置を外す。
懐から取り出した拳銃を耳の脇に構えた。
扉の前で、青年は一つ息を吐く……
「犬養ィィーッ!」
バドォォオォンッ
扉を蹴破る。
「覚悟ォォォー!」
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