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パーフェクト・ワールド・ハルⅤ-2

「で、とうとう本日、話合いのステージに進んだってわけ。どうやって今の学校の風紀を守るか討論会」 「なんでまた、そんな面倒な」  聞いているだけで疲れそうだ。そんな皓太の心境などお構いなしに、篠原はどこか楽しそうだ。この人、お祭り騒ぎ好きだからなぁ。悪い人じゃないけど。皓太は思い返す。  恥ずかしながら、陵の中等部に入学するより前から、成瀬が長期休暇で戻ってくるたびに付きまとっていたので、彼の友人の何人かもそのころより知っている。学内で人に囲まれていることは多いが、休み期間にまで一緒にいるような、ある意味で対等な友人はそう多くないのだろうが、向原と篠原はその最たるメンツだった。 「風紀のトップが本尾な時点でご察しだろ。あいつらの仲の悪さは折り紙付きだから。それよか、おまえ、風紀に絡まれたんだって?」  その長身と愛嬌から大型犬と称されている先輩の眼が、にんまりと細くなる。なんで知られているのかとくらりと来たが、よくよく考えれば、この人たちが学内のことを知らないわけもなかった。 「たいしたことじゃないですよ」 「だろうな。おまえにとったらそうだろうってのは、俺も向原も分かるけど。肝心の兄貴分が理解してない内は意味がねぇな。残念ながら」 「……まさか、原因の一端とか言わないですよね?」  肯定されたらたまらないが、聞かずにもいれない。そんな皓太を慮ったわけではないだろうが、篠原は応とも否とも言わず、 「こっちから仕掛けたと思わせるようなヘマはしてないから、安心しろ」  と来た。  一切、そんな心配はしていないし、こんな公私混同甚だしい人のどこが優しいのか榛名に昏々と問い詰めてやりたい気分だ。返ってくるだろう反応は分かっているので実行しないが。一つ息を吐くことで気を静めて、皓太はそのまま回れ右をした。

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